2008年7月6日日曜日

Webサイトの企画にペルソナを使ってみた

正確には、ペルソナを使って企画をしてみようとしていて、そのために本を読んで勉強しているところ、といった感じ。

読んだのはコレ。


"ペルソナ作って、それからどうするの? ユーザー中心デザインで作るWebサイト" (棚橋 弘季)

まず、ペルソナを使って企画を進めるって、どういう事なのかをまとめてみる。

  1. 企画の目的や目標・課題・おおよそのターゲットユーザを決め、プロジェクトの方針付けをする
  2. 情報収集を行う。具体的には、ターゲットユーザになりそうな複数の人に実際に弟子入りする形で過去の事例などについてインタビューを行い、ユーザの実体験を吸収する。(これは「ユーザはこうだろうなぁ」という仮説ではなく、事実を収集できる)
  3. 複数のユーザの行動を分析し、それを統合する事でペルソナを作り、実体験をミックスさせた行動シナリオも作る。これはターゲット層毎に複数居ても良い。
  4. こられペルソナに気に入ってもらえるように、行動シナリオに沿った形で企画、Webサイトの設計、デザイン、広告、機能追加などを行う。
  5. 必要に応じて、早期に企画や設計に反映させるためのユーザテストを行う。

今までの方法だと、企業側の思考でユーザ像を捉えていたので、どうしてもご都合主義になってしまったり、真剣に考えようとしても「こういうユーザなはず」という「想像」からユーザ像を捉えていた事が多かったのですが、ユーザの声をまず聞いて、想像ではなく事実を元にして、それを統合させたユーザ像(これがペルソナ)を作る事で、気持ち動機なども含めたリアリティのあるユーザ像を対象に設計や戦略的判断が出来る事は、大きいんじゃないかなぁと思った。

やっぱり、システムを設計していて、どちらが良いか迷う事があるんだけど、そういう時の指針となるので、全体として統一されたシステムやサイトができるんじゃないでしょうか。

で、実際に読んでみて思ったこと。

  • タイトルの「ペルソナ作ってそれからどうするの?」とは裏腹に、この本はペルソナを作る前から読むべき本です。勘違いしやすいかも。
  • 具体的には、 上記1〜5の範囲について、ノウハウや具体例まできっちり説明しています。
  • 購入時点に置いては「Webサイト設計のためのペルソナ手法の教科書 ~ペルソナ活用によるユーザ中心ウェブサイト実践構築ガイド~」と目次レベルで比較検討して、「大企業の中で企画を通す」という流れより、「よりWebサイトを使いやすくする」という実践的な方として、「ペルソナ作って、それからどうするの? ユーザー中心デザインで作るWebサイト" (棚橋 弘季)」に決めました。他の本は、学問的な見地から抜け出せておらず、実践で使える本としては上記2つぐらいかなという印象です。
  • 実際には400ページ弱のこの本のうち、半分は概要編であり、話があちこちに飛んで読みづらく、あまり役に立たないなと感じた。1ページ目から順に読んで行くのであれば、途中で読むのが嫌になると思う。(てか嫌になった)
  • この分ページ数減らして、値段を下げてくれ。
  • 前半は概要編としてあまり魅力が無いのだが、後半は実践編としてとても役に立った。特にノウハウとしてではなく、「各項目はどんなことに留意しなければならないのか、なぜこういうことをするのか」といった考え方の部分まで示してあり、ユーザテスト当日のために用意した方が良い持ち物リストまで明記されている。ケーススタディも用意されているので、最後にこれを読むとまとめとなって、より理解が深まった。
  • ペルソナという外来の概念を、日本風にアレンジすることを目標にしているらしく、古来のお茶会や千利休の話も出てきますが、これが実践編でどう絡んできたのか、いまいち読み取れません。(他の本と比較すればわかるのかな?)

実践本として、とても役に立つ事は間違いないので、これをうまく使って企画を進めようと思います。

ただし、今進めている企画は、メンバーや予算や期間がかなり限られているので、上のフローをすべて適用する事は出来ないと思います。具体的にはインタビュー調査とユーザテストを省いて、経験や想像からペルソナを作るような形で進めようと思っています。

間違っても、メンバーでブレストだけでユーザー像を作り上げるべきではない」と言っている人もいるし、ユーザ中心デザインの良いところはかなり薄れてしまうのは覚悟していますが、それでもメリットは大きいと思います。うまく行くようであれば、このブログにまとめ直すかもしれません。まぁ、1人か2人ぐらいにインタビュー(というか雑談?)はしたいですけどね。最低。

ちなみに、「ユーザ中心デザイン」というこの概念、アジャイル開発と相性が良いみたい。スモールスタートと振り返りながらの反復開発をする予定ならば、検討をオススメします。

なんだかんだ言っても、この本はお薦めできます。


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